2012年4月29日日曜日

薬物や精神異常での犯罪はその行為自体は罪にならないと思いますが、催眠術に掛か...

薬物や精神異常での犯罪はその行為自体は罪にならないと思いますが、催眠術に掛かっている状態ではどうでしょうか



勿論催眠術に掛かっていたと証明出来ることが前提での質問です。







催眠術に掛かっている時は、責任能力(行為の是非を弁別し、その弁別に従って行動を制御する能力)を欠きますから、高度の精神病者の行為と同じく、責任(有責性)が阻却され、犯罪は成立しません(刑法第39条第1項)。



刑法第39条(心神喪失及び心神耗弱)

①心神喪失者の行為は、罰しない。

②心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。



この場合、催眠術を掛けて犯罪を実行させた者が「正犯」となります。



ナイフやピストルを道具として犯罪が行われるのと同じく、情を知らない第三者や責任無能力者を道具として犯罪を行う場合は「正犯」となります。



自ら手を下す場合を「直接正犯」というのに対して、第三者を道具とする場合を「間接正犯」といいます。








催眠術の内容によって判断が分かれると思います。



催眠術が、かけられた人の自由意思を奪い、行動を操ることができるものであれば、催眠術をかけられた人は「心神喪失(刑法39条1項)」と評価できるでしょう。

また、催眠術が、かけられた人の自由意思こそ奪わないが、合図等によって特定の行動を仕向けられていれば、前記行動については同様に評価できるでしょう。

このように、自由意思や行動に制約が与えられていた場合、催眠術をかけられた人の操った人が、刑事責任(間接正犯)を負うと思います。



ただ、催眠術が、かけられた人の性癖を矯正する等(いわゆる催眠療法)に過ぎず、自由意思や行動に制約を与えなければ、かけられた人を「心神喪失」又は「心神耗弱(刑法39条2項)」と評価し難いでしょう。

この場合、犯罪行為と催眠術との因果関係が明確に証明されない限り、催眠術をかけられた人が刑事責任(正犯)を負うと思います。







催眠術にかかって犯罪を犯す予見可能性がなければ、犯罪成立の3要件、構成要件該

当性・違法性・有責性、の「有責性」を欠き、犯罪にはなりません。



ただし以前の催眠術中に犯罪的な行為を行ない、今回も犯罪を犯す予見可能性があっ

た場合、犯罪は成立します。

それは有責性つまり責任能力の存否の判断時点を、催眠術にかかる時点までさかのぼ

らせることによって行ないます。つまり・・・



①催眠術にかかれば自分が犯罪を犯すことが予見可能であった、②それにも拘らず自

由な意思で催眠術にかかった、という点をとらえて、かかる、かかからないは本人の

意思による自由な行為であるから、自由な行為には責任が伴ない、予見可能なその結

果には刑事責任を問う、という考え方です。



これは判例・実務であり、「原因において自由な行為」(Actio Libera in Causa)

といわれます。踏切番が勤務中に飲酒して、列車事故が起こったことを考えてくだ

さい。薬物でも同じです。

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